収監ダイアリー

虚栄心、自己治療、責務、手段、自己実現。晒す限りは活かしたい。

2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

2022年6月16日

お元気ですか。 もうとっくにお知りになっているかと思いますが、水戸刑務所に移送されました。 水戸です(正しくはひたちなかですけれど)…足立区より板橋区より…いつもバカにしていた埼玉よりも遥か彼方です。地方へのヘイトを繰り返したしっぺ返しを受け…

2022年6月15日

「教育だから今日は一番運動」と言われ早朝から単独運動に出る。 教育と言うくらいだからきっと薬物のことだろう。 別の棟に連れて行かれ、教室にはいる。 一人だけでのようだ。10時から12時までビデオ教材を見る。 薬物の悪影響のVTR…仕事をクビになる、離…

2022年6月14日

舎房着が本日より半袖半ズボンへ、寝具も掛け布団からタオルケットへと変わる。 すべて処遇は一般受刑者も療養中の者も変わらない。 この他者と自分の差異のない世界からボクは優越感と劣等感のどちらを学べばいいんだろう。 外からは室内運動のBGMが流れて…

2022年6月13日

いつもの先生がオペでいない。 代理のドクターが診てくれる。 「何やったんですか?」 「いやー、覚醒剤をちょっと…」 「いやいや、足の話です」 「あーー、そっちか」 ギブスカッターでギブスが割れる。左足があらわになる。細く衰えている。ついでの右足も…

2022年6月12日

担当者様 私は新宿区に在住している@@@@と申します。 先日、国民健康保険の督促状が届きました。 私は現在、令和4年3月10日より刑事施設へ収容されております。 つきましては、支払いの免除を希望します。 記号番号 ********* 通知書番号 ::…

2022年6月11日

目が覚める。朝の白い光に体が馴染むのを待つ。眩しくて目が痛い。目を瞑り夢の世界へ戻る。 再び目覚める。さっきよりも強い光が瞼をさす。 鳥がはしゃぐ声が聞こえる。朝の澄んだ空気は音を通しやすい。 思いも朝は届きやすいのかな。誰かを思おうと試みる…

2022年6月10日

ミサイルが撃ち込まれて独房が爆破されないかと願う。 傷ついた他の収容者を介抱し、その功績が認められ恩赦が叶わないかと祈る。 無益な妄想に浸る。 暇すぎて希望しか浮かばねーぜ。 まあ、日本が戦争になったら、ためらわず国外脱出するだろうが。非国民…

2022年6月9日

ご無沙汰しています。 お手紙、本の差し入れありがとうございました。 ご存知だと思いますが4月12日に水戸刑務所に移りました。 東京から北上すること100キロ。とはいえ外界との接触はありませんし、特段の感慨はありません。無感動な大移動です。 それに刑…

2022年6月8日

取調室に連行される。 再逮捕のための調べではない。 先日のルナティックなご近所さんの騒音騒動についての事情聴取のためだ。 当人のことを知らないので義理もない。彼のドア蹴り叫びについてボクはするするとうたう。これが同じ工場の者なんかだったらこう…

2022年6月7日

刑務官同士は、後輩は先輩を先輩と呼び。先輩は後輩を先生と呼ぶ、とても変な世界観である。 まあどうでもいいことであるがなんか気になる。 今日はギブスの取り替えに県立病院へ受診だ。 40分の旅路、車窓から見える茨城は…茨城って工務店や車屋関係の店が…

2022年6月6日

お元気ですか。 先日はお願いしていた関係者の方々の住所を送っていただきありがとうございました。 大変助かりました。 その後、4月12日に東京拘置所から水戸刑務所に移送され、ゴールデンウィーク明けまでのしばらくは、立派な囚人になるための訓練期間で…

2022年6月5日

ズドンとどこかの(音の具合から隣の隣あたりの)部屋のドアが蹴られる音がする。 不吉な音だ。続けて叫び声。それは雄叫びに近いシャウト。腹の底に響くような切なさが夕闇を貫く。 わらわらと集まってくる刑務官。「大声を出すな」という怒号にその男は期…

2022年6月4日

この部屋は一階にあり、正面には体育館が立ちはだかっているため、窓からは30センチくらいの空しか見えない。その空の闇が緑がかってくるとすぐに朝がやってくる。まだ眠剤が効いているから本には手がいかない。次に目を開けると白い靄がかかっている。常夜…

2022年6月3日

ノートを新調する。 何か縁起のよさげな言葉ではじめたいなあと思うが、そんな都合のいいエピソードなんか起きるはずもなく、とはいえこういった想起は悪いもんじゃやないと思う。 トンガ坂文庫さんからの差し入れ本が一気に7冊。富豪になった気分。刑務所で…

2022年6月2日

お元気ですか。 美穂子さん、奥歯を抜かれたそうで…心中お察しします。 奇遇ですね。実はボクも去年、左の奥歯の一部を失って(先生に一本丸ごとは抜かないで欲しいとゴネにゴネ、半分で折り合った)、抜歯後鬱になりかけました。歯を抜かれると政治家の麻生…

2022年6月1日

一日はコンタクトレンズと歯ブラシを新調する。アゲアゲスイッチが入る。 すべては回復してしまった。昨日とは打って変わって絶好に調子いい。ボクは不調さえも持続させることができない。 ギブスの生活は相変わらずに不自由だけど… うっかり足を滑らせて大…

2022年5月31日

寝覚めから体調がよくない。 作業をしていても鬱々とする。 壁のカレンダーをつい見てしまう。 何度も何度も見てしまう。 先の遠さに気が滅入る。 府中の時も同じような感傷で、同じような日記を書いてたっけなあ。 同じことを繰り返す自分が情けなくもなる…

2022年5月30日

自弁購入品が支給される。 ちり紙2パック、黒のボールペン、便箋にノート、ウテナクリーム、箸に箸箱。 やっぱり自弁の箸は使いやすい。飯もうまく感じる。 ボディーソープは3類にならないと使えないらしく廃棄となり352円が無駄になる。ひと月の報奨金に匹…

2022年5月29日

前略 はじめまして。 淘汰と申します。 いつも本を送ってくださってありがとうございます。 ……何をどう言葉を続ければいいのだろう。 とりあえずご存知でしょうがボクは現在、水戸刑務所に収監されています。 ここにはしばらく…あと一年以上は滞在する予定で…

2022年5月28日

ギブスの中がむず痒い。痒い所に手が届かない辛さ。 ギブスって少しばかり(というかどんなに)無理しようがびくともしない。十日目にして気づく。とりあえず膝小僧が擦れて痛い。 どこからか「点検よーい」という号令が聞こえる。それを合図に「てんけ〜〜…

2022年5月27日

金曜は強制指導日。 この舎房はテレビが設置されていないため教養番組は視聴できず。もちろん感想文も書けない。ラッキー。 ラジオからは録音教材の「職業案内」が流れてくる。建築作業員と塗装業の紹介。大体いつもブルーカラー。学歴、性別、経験不当(前…

2022年5月26日

美穂子さんから手紙が届く。 続いて伊藤さんから差し入れも入る。ちくま文庫に新潮新書、文春文庫の解説目録、さらに「波」と「図書」と「鴨東通信」。伊藤さんは、一度の差し入れ3冊の上限を無視して送ってくる。 ギリギリアウトを狙わないとストライクゾー…

2022年5月25日

休養処遇は終わるって聞いたのに、今日から作業はじまらないんだなあ。 石ころひとつさえも持ち出せないし、持ち込めないこの場所は、かつて少年刑務所だったらしい。少子化のあおりをくって収容者となるはぐれ者の対象を少年から成人まで広げたんだろう。 …

2023年5月24日

ここにいれば薬を使わなくていいし、薬を使わないからって発狂するわけじゃない。もう薬中は全員刑務所に入れとけばいいんじゃないか。税金がどうなるかとかなんて知ったこっちゃない。 なんて、いつもの主義主張とぶれぶれな自分が現れる日もある。 まあだ…

2022年5月23日

食器口が突然ガバッと開き「はい薬、5分早いけど」と眠前薬が袋のまま差し出される。ボクは「あっ大丈夫です」と言って手にとる。薬を確認し「間違えありません」と口にする。コップを持つ手がぶれてしまい水がびしゃりとこぼれる。全く大丈夫ではない粗相を…

2022年5月22日

今回の怪我からボクは「体にいい運動ってのは一人でやるものだ」という教訓を得た。つまりは「筋トレに励もう」という機運が高まっている。だが、まだ休養処遇の措置がかかっており、例え休日であろうが9時から5時までは安静にしていなければならない。 「何…

2022年5月21日

こんな夢を見た。 高速バスに乗っている。なぜかトラックとデッドヒート。トラックが白バイに捕まり、バスの運転手は誇った笑みを浮かべている。ボクは運選手のすぐ後ろの席。競う相手は消えたのにバスはぐんぐんスピードを上げていく。急カーブの連続。こん…

2022年5月20日

外は五月晴れ。小鳥が囀る。寝たきりのボクの頭のすぐ向こうの廊下では掃夫がせかせかと働いてきる。 この舎房には、拘置所から来たばかりの者や何かをやらかして調査を受けている者や懲罰中の者、あとはボクのような病人が収容されているようだ。両隣は懲罰…

2022年5月19日

ここに来て一ヶ月が経ちましたが、早速やらかしてしまいました。 工場に配役されてわずか三日目。 他の収容者とやり合ってしまいました。 ブチっとキレてしまいました。 大バトルの末、ぐるぐる巻きに縛られてストレッチャーで運ばれてしまいました。 あー最…

2022年5月18日

姉さん事件です。 アキレス腱を切りました。 それは運動時間中、グランドでリレーをしていて、ボクはアンカーで、1レース目が意外と調子よく走れて、調子に乗りすぎての2レース目のスタートダッシュで…やっちゃいました。 心が体を追い越したのか、気づいた…