収監ダイアリー

虚栄心、自己治療、責務、手段、自己実現。晒す限りは活かしたい。

2022年6月2日

お元気ですか。

美穂子さん、奥歯を抜かれたそうで…心中お察しします。

奇遇ですね。実はボクも去年、左の奥歯の一部を失って(先生に一本丸ごとは抜かないで欲しいとゴネにゴネ、半分で折り合った)、抜歯後鬱になりかけました。歯を抜かれると政治家の麻生さんみたいに顔のバランスが歪んでしまうんじゃないかと…メランコリックになります。永久歯ってペテンですよね、全然永久じゃない!(独断と偏見ではありますが、顔が非対称な人には性格異常者が多いように思う)。

左の歯が抜け、左足のアキレス腱が切れ、みみず腫れのように膨れ上がった注射痕も左腕だし…明らかに左半身にガタがきています。左がかった生き方をしてきたせいなのでしょう。

キレやすい中年の危機を実感しています。

 

そうなんです。アキレス腱を断裂させてしまいました。

運動の時間、猛ダッシュかましたら(正しくは猛ダッシュをかまそうとして、かませなくて)…全治三ヶ月。

刑務所のグランドで見上げる空はとても広く、ボクを昂らせます。ドッグランに放たれた犬のように弾けとんで、弾けとびました。

やりすぎというか、踏ん張りどころを見誤るというか、ピリオドの向こう(無効)体質なんですよね。

鍛えれば身につく時代は過ぎ、鍛えれば傷つく身体になったようです。

いつまでも若さはない。更年期(チェンジ)なんでしょう。

 

新入の訓練を終え、工場に配役され、さあ懲役っぽくなってきたぞと思った矢先のドロップアウト

HIV のウイルスがアクティブだったのでオペはせず、ギブスで固定しての保存療法です。

毎週外の病院に通院しています。救急外来からの裏口受診なんですが何故か目立つんですよね。手錠つきの外出はボクをハートの強いタフな男にしてくれます。

今は部屋で一日中洗濯バサミを組み立てています。立ち上がることもなく、地上1メートル以下の生活は地に足がついているという見方もできるのでしょうが、膝が擦れて孤独が痛い。

 

窓の外の空を見るよりも、こうやって机に向かって手紙を書いたり、本を読んだりする方が外とのつながりを体感できます。

本の差し入れありがとうございました。まだ検閲中で手元には届いてないんですが楽しみです。色々な意味で「つながり」って大事だなあと。

カフェ潮の路…コロナのせいでまだ一度も行けてなく、出所後の楽しみです。

ではでは、また本を読んだら感想のお手紙を書きますね。

 

 

f:id:cubu:20231118183711j:image

向田邦子向田邦子ベスト・エッセイ

「私は決めたのです。反省するのをやめにしよう」

蒸し蒸しした陽気にスカッとするひと言。