いつもの先生がオペでいない。
代理のドクターが診てくれる。
「何やったんですか?」
「いやー、覚醒剤をちょっと…」
「いやいや、足の話です」
「あーー、そっちか」
ギブスカッターでギブスが割れる。左足があらわになる。細く衰えている。ついでの右足も細くなっている。腐ったミカン作用は自分の体にも当てはまるようだ。
傷むってことは弱るってことなんだ。
死んでしまった魔女の遺体が、みるみるとしわしわの老女の遺体になってしまうように、きつい、つらいを頑張れの声にしてギリギリの張り詰めたところで生きていたんだなあ。
弱くなってしまったなあ。
弱くなったけど、やさしくなったような気もする。
部屋に帰った途端、ぐらりと地面が揺れる。
地震だ。ひとしきり揺れた後、静寂する。
一人きりの独房。「けっこう揺れたね」と誰とも言い合えないのでいつまでも揺れている感じが残る。
人の笑顔が恋しい。
麻婆豆腐がしみない。口内炎は消えたようだ。一週間もあれば、口内炎は治る。依存だってそうだ。
だけど、一週間後の依存を今、治すことはできない。困ったもんだ。
そして、椎茸がまた出てきやがる。椎茸へのヘイトは時間が解決しない分、口内炎よりも厄介だ。
がっかりしながら、だったら明日は椎茸メニューじゃないと気持ちを切り替える。
アダム・オールサッチ・ボードマン/イラストで見るUFOの歴史
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