収監ダイアリー

虚栄心、自己治療、責務、手段、自己実現。晒す限りは活かしたい。

2022年6月16日

お元気ですか。

もうとっくにお知りになっているかと思いますが、水戸刑務所に移送されました。

水戸です(正しくはひたちなかですけれど)…足立区より板橋区より…いつもバカにしていた埼玉よりも遥か彼方です。地方へのヘイトを繰り返したしっぺ返しを受けるかのように護送車に乗って運ばれてしまいました。こんな田舎でやっていけるのか心配でしたが、住めば都、暮らせば刑務所。とてもいいところです。たぶん。

 

先日は、最後の給料の現金書留と郵送物の職場への転送手続き、ありがとうございました。皆様からのお手紙も嬉しく拝見しました。

お手紙に書かれていましたが、医療法人化、ステーションの立ち上げ…なんだか面白そうですね。そんな興味深い場面に立ち会えずとても残念です。うまく軌道に乗ることを草葉の陰から祈っています。

 

こちらは、というはボクはあまり好調とは言えません。

実は先日、アキレス腱を切ってしまいました。

アキレスカット!自傷行為ではありません。

いや…自傷なのかなあ。

屋外グランドでの運動中、リレーをしていて、アンカーで、バトンを持って駆け出して、気持ちよく風を切って、アキレスもろとも空にいい音を響かせて…

元々の運動不足に加え、準備不足、老化もあったのでしょう。そもそも二足歩行が向いてなかったのかもしれません。車椅子で運ばれながらアカウント名通り本格的に「淘汰」だなあと思う次第です。

医務室に運ばれるや「@@!またお前か」と出迎えられ(ボクはHIVでも医務室をよく利用しているので医務室のヘビーユーザーなんです)、「どうしたんだ?何やったんだ?」と情報収集されたので「走ってて、気づいたら体が後ろにあって、慌てて戻ったら足が動かなくなってました」と情報提供したところ「昔、競馬でそんな馬がいたなあ。ジョッキー落としても気づかんまま走ってゴールした馬が」と事例を用いて説明してくれ、診察の結果「あーあ、これは切れてるね」と確定診断。

「馬だったら馬刺しだな」と言われ、ボクは「人間でよかった」と思いました。

所内では処置できないので県立病院まで搬送されました。かりそめの出所。ドナドナドナードーナー🎵

オペは行わずに保存療法を選びました。全治三ヶ月。しばらくは単独室での療養処遇です。

 

一体どれだけの受刑者が一年のうちにアキレス腱を切るのかしれませんが(後で聞いたところ「水戸ではいないな。せいぜい肉離れくらいまでだ」と言われた)、普通じゃないなあと。普通ってこんなに難しかったっけ?

なんだかメランコリーです。

それ以上やったらやばいの一線を超えてしまう(超えさせてしまう)脳のつくり。そんなオーバーザライン症候群にアモバン一錠ではどうすることもできません。

立ち上がれない世界。空が遠くなりました。

無力です。せっかくなので無力達人を目指します。

雷鳴だ。そろそろそういう時季なのかもなあ。

 

 

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ポール・ヴァーゼン 堀江敏幸/ポールヴァーゼンの植物標本

スイスには一度行ったことがある。あの時は空ばかり見ていた。足元に目をやることはなかった。なんかもったいないことしたなあ。