収監ダイアリー

虚栄心、自己治療、責務、手段、自己実現。晒す限りは活かしたい。

2022年7月25日

車の盗み方、売り捌き方、盗難車の手に入れ方、それが摘発された時の逃れ方。裏社会の悲喜交々を語るおじさま方。この人たちまた出たら絶対やるんだろうなあ。善悪の境界、倫理の間の向こうとこちらを自由に行き来する者たちがいる。そういうことがあり得てしまう世の中でどう生き延びていこうかを考えながら、ボクは熱心に彼らの話を聞いている。

 

ワークブックの課題が残っていた。自分の強みについてチェックしていく。30ほどの項目の中「ルールを守る」「正義感がある」「努力できる」の三つにチェックできなかった。もう自分だけじゃ手に入れられないストレングス。周りにカバーしてもらうしかないな。どこかにルールも正義感もなく、努力しないボクを好きになってくれるルールを守り正義感があり、努力できる彼氏はいないものか。

 

近くの雑居で諍いのファンファーレ。どすどすと駆け込んでくる刑務官たち。少し嬉しそう。やりがいを感じる瞬間なんだろう。関係ないやつは壁に向かって座ってろ!との怒号。全体主義にどっぷりと固められた世界からいきなり個人主義に振り切れってのは難儀だろう。

誰かが連れ去られて一件落着。

ご近所と言うことで事情聴取されるけど、食器口も閉めていたし何も情報提供できることなんかない。お役に立てずにすみません。

 

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宮尾登美子/錦

反物が畳の部屋にずらーっと並べてある景色のフラッシュバック。別につらい思い出ではないが、かつて自宅で着物の展示会をやっていた記憶が蘇った。ボクをここまで育ててくれた「呉服の@@」は誰も継ぐものがおらず静かに廃業しました。