収監ダイアリー

虚栄心、自己治療、責務、手段、自己実現。晒す限りは活かしたい。

2022年5月5日

目が覚める。窓の外は闇。そこにあるはずの体育館のシルエットはまだ見えない。

朝日が出るまでは読書はできないので大人しく目を瞑る。きっとまだ四時くらいだろう。すでに8時間は寝ているが、それでも二度寝ができてしまう。眠るために人は起きてるのかもなあなんて思いながらボクは再び目を瞑る。

こんな夢を見た(このノート、夢日記みたいになっしまっている)。

 

子供の頃に住んでいた街にボクはいる。ふらふら歩いていたら野良猫と出会う。でかい。かなりでかい。シェパードくらいにでかい。ボクはしゃがみ込んで少し離れたところからじっとそのでかい猫を観察していた。猫はボクを無視する。ボクは立ち上がって猫に近づこうとした。猫は首をあげて警戒する。ボクは人が動物に好かれたためしがないことを思い出して、立ち去ることにして、立ち去った。後ろに気配がした。振り返ると猫が近づいて来ている。ボクは足を止めた。猫も足を止める。目が合う。ボクはゆっくりしゃがんで猫の出方を待つことにした。猫はゆっくりと動き出して向かってきた。動くとデカさが増す。子牛くらいあるように思える。ボクは動けない。猫はじゃれつくように頭をボクの脇腹になすりつけてきた。ボクは横に倒された。子牛サイズの猫にじゃれつかれることは生死に関わる。死を感じながらもボクはなぜか笑っていた。周りに何匹かの野良が集まってきた。今度は普通サイズのやつばかりだ。猫のふわふわが気持ちいい。陽だまりの気持ちよさに包まれる。

心地よさを振り払ってボクは散歩を続ける。懐かしい坂道を登っていたら、記憶にないとても新しくとても斬新な、だけど温かみもある変わった建物を見つけた。その建物からその頃、大好きだったアイドルが出てきて「あら、あなた」と声をかけてきた。顔をむけると「あっ、違ったわ。ごめんなさい」と言われた。その後、少し会話をしたような気がするし、それでバイバイだった気もするし…とにかく辺りがやけに明るくなったので目を開けた。

外はもう朝だった。空も体育館も丸見えだ。

なんだか誰かの夢におじゃましたような夢だった。

 

足の指が冷たい。この指先の冷えやすさはきっと覚醒剤の使い過ぎによる後遺症だろう。一生つきあっていかないといけないんだろうな。

寒い。朝一番の鼻水。祝日だから薬はもらえない。メリアス二枚にチョッキを着込み重装備。布団に潜り込んで起床の放送を待つ。

 

 

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森見登美彦/恋文の技術

手紙の書き方とちょうどいい自虐のお手本としての実用書。