収監ダイアリー

虚栄心、自己治療、責務、手段、自己実現。晒す限りは活かしたい。

2022年4月26日

ご無沙汰しています。

いかがお過ごしですか。

お聞きになってるでしょうが、東拘から移送され今は水戸刑務所にいます。

「翔んで埼玉」、もとい「ぶっ翔んで茨城」です。

夕食に納豆が出ます。

本場の豆です。うまいです。粘りが違います。

にしても寒いです。もうすぐ5月というのに凍えています。

北関東に来たーーーーって感じです。

あー早く帰りたい。

 

話を変えます。

差し入れ本ありがとうございました。

基金オリジナルブレンドの香り漂う選書、楽しんで完読しました。

村上春樹訳の「キャッチャー イン ザ ライ」ははじめてでした。全てに苛立ち、不安定で、衝動的で、無力で、可愛げがなくて、自意識だけは高くって…だけど若さがあるとそういうのもサマになんだなあ。色々と懐かしめました。読み終えた日の夜、夢に熱中症で死なせてしまったシンバ(犬)と助けることのできないまま疎遠になり逝ってしまった友達が出てきました。自分の怠慢でトラウマにすらなれなかった苦い思い出に襲われてしまい、さすが暗殺者たちにインスピレーションを与えただけある小説だなあと。

 

今は独居です。ゲイなので一人部屋がいいですというリクエストが叶いました。(ゲイなので雑居がいいですと希望したらどうなったんだろう)。テレビも付いてます。ただバラエティ番組の笑い声を聞くとテンションが下がるのであまりつけてません。「ザ・ノンフィクション」と「世界遺産」と「ダーウィンが来た」くらいですかね観ているのは。地味目に真面目です。

しばらくは工場に配役される前の訓練期間となるんですが、洗濯バサミを組み立てたり、講義を受けたり、諸動作を受けたり…この諸動作が曲者でして、なかなかマスターできず苦戦しています。気をつけて、前に習って、まっすぐに進む。それだけができない。「列」という概念をボクは人生のどこかで喪失してしまった(もしくは初めから獲得できていなかった)のかもしれません。

真っ直ぐにしゃんと背筋を伸ばして立つ姿勢もなんだか自信なく、きっと中心がブレてるんでしょう。

「右にならえ」の号令に、一人左を向き隣と対面してしまう気まずいアイコンタクト。コントみたいです。

真剣なんですけどね…

「チガウ」「オソイ」「ナンダソノアタラシイウゴキハ」とこの数日間で一生分怒鳴られました。

 

ピカピカの新入生だったのに、すでにくたくたの新入生です。

あー早く帰りたい。

 

話を変えます。

基金の新採用は決まりましたか。基金はとても魅力的な職場だと思います。

入職当初は、貧民が大貧民に手を差し伸べるという生活困窮者支援現場によくみるその構図から醸し出される野暮ったさというか貧乏性に戸惑いもありましたが、その違和感も含めて変えて行こうとするビッグイシュー基金はとても魅力的な職場だと今は思っています。もう少し貢献できたらよかったんですが…

ふるさとは遠きにありて思うもの…帰るところにあるまじや

まあソーシャルワーカーは続けていこうと思っています。

侑子さんが言ってくれましたが、増えていくボクのマイノリティの引き出しを誰かにとっての入り口にできたらなあと思っています。

のび太の引き出しみたいに生きづらさを持った誰かを色々な場所に引きづり込んで連れていけたらなあと。

こんな風にこの状況でさえも商機だとみなす自分もいて、だから余計に…

あー早く帰りたい。

 

いつかビールでリアルに乾杯できる日を夢見て。そんな野望が今のボクの支えです。

そんなこんなで何とかやってます。

皆様にもよろしくお伝えください。毎日は無理ですがたまには思い出していますよと。

侑子さんも良い週末、週ゴールデンウィークをお迎えくださいね。

ヒタチ(ナカ) インスパイア ザ ネクス

 

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堀江敏幸/いつか王子駅

やっぱ「都電荒川線」でしょう。「サクラトラム」なんて呼びづらい。