1.薬物の危険性や害悪を理解し、薬物使用を断ち切る決意を固める。
2.主体性や責任感を養い、自律的に行動する力を身につける。
3.社会復帰後の就労方針を明確にし、生活設計を具体化する。
この三行が印刷された紙が配られた。ノートに写して置くようにと指示がでる。矯正処遇の目標らしい。きっとテンプレートがあるんだろう。こんなにも愛も熱意も感じられない支援計画の共有のされ方ってのも感動的だ。
薬物の危険性や害悪???そんなの誰よりも知ってるし。それは刑務所に入れられることでしょう。
「覚醒剤をやめる自信なんてありません」。ここで止めとけばいいのに「所内の離脱教育は意味がないと思う。もっと言えば捕まえることはもっとも愚かな所業だと思う」なんて思ってしまうからボクは今に意味を見出せない。自分のどこかに罪を見出さなければここでの存在理由がなくなる。
事故改善目標確認書、ワークブック、これからのステップ、指導日の課題作文…書き物ばかりの所内反省プロジェクト。司法モデル、医療モデル、生活モデルがブレンドされたちぐはぐなアプローチ。
今の日本の刑務所ってとこは、罰を与えるための場所としては満点であるが、再犯を予防するためには不十分、ってかむしろ不適切。打たれる限りは響きたいんだけど、ここじゃ離脱について学べても実践は試せない。
主体的になれって言われたって、これだけがんじがらめのルールで固められて…やらされ系の毎日で自律せよって言われてもなあ。「意志」をもてっていうんだったら「意志」をつける取り組みをさせればいいのに。こんな義務と演技の刑務所生活では意志なんか身につきっこない。
塀の向こうの空を見上げるよりも目を瞑って自分と語り合ってる方が誰かと近づいているような気がすることに気づく。
三浦しおん/人生劇場
トイレのドアは閉めましょう。ってか独房にはトイレのドアがありません。