雷で目が覚めた。強烈な光。
ボクは目を閉じていたが腥いピンクと赤の世界が見えた。目を開けていないのに見えるってのもおかしな話ではあるが…毛細血管が透けて瞼に映っただけなんだろう。ハムスターが蠢いているイメージだった。
次の瞬間、音が来た。
敷地内の火の見やぐらに炸裂したのか。爆心。原爆で死んだ人ってこんな最期だったんだろう。そんな風に思ってしまった。
この年になっても初体験ってあるんだなあ。
何か暗示を予感させる夢を見ていたような気もするが思い出せない。まあいいや。所詮夢に過ぎない。ここが刑務所であるという現実はいつまでも変わらない。
「刑務所に入る」という言葉はボクのボキャブラリーにはなかった。口にすれば新存在に加わり、黙ればなかったことになる。きっとボクは黙らない。
人生は短い。覚醒剤を使いこなすには短すぎる。
小林エリコ/この地獄を生きるのだ
自分はそんなことはしていない…精神医療の嫌なところを見ないふりをして誤魔化していた保身にグサリと刺さった。