収監ダイアリー

虚栄心、自己治療、責務、手段、自己実現。晒す限りは活かしたい。

2022年7月15日

意外に暑い水戸の夏。

もちろん部屋にはエアコンなんてついておらず、あてがわれたうちわだけが涼のたより。廊下の扇風機もウォンウォンと頑張ってくれてますが、50人近く収容するフロアに3台(しかもその内の一台は家庭用タイプ)という全員に風を行き渡すには土台無理な配置。流れてくるのは扇風機が回る悲しい音だけという具合で風力かなり逼迫しております。

先月末の梅雨明けの頃は、あまりの灼熱っぷりに毎日くらくらとしていましたが(ほんとあの暑さはすごかった)、覚悟を決めれはしのげるものです。覚悟って大事ですね。
そんな所内のホスピタリティについての報告を枕に暑中お見舞い申し上げます。


ご心配かけておりましたボクのレフトフットアキレスは無事つながりました。ギブスもとれ添木に包帯というカジュアルスタイルへ装い新たに衣替え。二ヶ月ぶりに体重計に乗ったら一キロ増。そんなに太ってなかった。フォルムは変わってませんが赤黒く固まった腱はなんだか怖い。ジョンソン&ジョンソンのベビーパウダーをまぶしたら気味悪さが余計に増した。歩こうと地面を踏みしめると軋みそうでこれまた怖い。

添木から犬小屋の匂いがします。OH!MY!DOG!

「左をやったやつは右を酷使しすぎて今度は右をやる。そしてまた左をやる」

刑務官のそんな予言めいた助言は右足から動き始める習慣のついたボクには心当たりすぎてとてもリアルに響きます。

右に負担をかけずに左をケアする。自分を大切にするってなんて高度なテクニックを要するんだろう。

とりあえず的に歩くには歩けるんですが歩くということを意識しないと歩けない(それも長時間は無理)ってな感じでして、なんだか体の成り立ちが変わってしまった気分です。

色々と敏感になります。

先日、工場でガリ(理髪)をしてくれたおじさんが「バリカンやっててここらへんが変にやわいんだよね」とボクの後頭部を触って教えてくれました。気になって触ると確かにやわい。ホワイトイルカの頭みたいな弾力のある手触りのこぶができてました。

腫瘍?死の予感…

オルタナティブだぜ人生は。ここで終わるのも悪くない。

欠落づいているせいか生への執着も変化します。前の時みたく「どうしても生きのびたい。獄中死は絶対に嫌だ」みたいな欲は今回はありません。だからボクがもし脳腫瘍で死んでも伊藤さんにはバッドムードになんないでもらいたいなあと。そういう風に思っている人が一人でもいればいいやと。なんてね。

こういう遺書めいた手紙を書くのっていいですね。すっきりする。とりあえずここでは毎日日記をつけてるんで日記が遺書みたいなもんです。出来るだけ長い遺書物語にしたいです。(続く)

 

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高原英理/日々のきのこ

幼い頃から椎茸に恐怖していたボクが怖れた世界がこの本の中にあった。

怖くて美しくてそれはそれは面白い小説だった。