収監ダイアリー

虚栄心、自己治療、責務、手段、自己実現。晒す限りは活かしたい。

2022年6月25日

お元気ですか。

保健室ナースを始めたそうで、いかがですか。

スクールソーシャルワーカーの先輩の話なんかを聞いていると子供よりも親とか教師とか、彼らをとりまく環境へのアプローチがややっこしらしく、その難儀さを子供とのコミットで解消するみたいなよくわからないヘンテコな世界観で教育現場はなりっているようで、大変なんでしょうね。気持ちよく巻き込まれながら働けていることを願うばかりです。

ボクは今回、俗世から離れるにあたってケースの引き継ぎみたいなこともやったんですが、唯一気がかりだったのが19歳の少年…訪問看護ステーションに繋げたのですが…気になって気になって…転移はつらいよ。元気にやってるといいんだが。

医療機関の外で働く医療職ってほんとバイタリティが必須ですよね。刑務所にも医官とかドクターやナースがいますが、ボクは5月にアキレス腱を切ってしまい、ハプニング的受刑者としてお世話になっています。筋を通すための場所で筋を切ってしまいました。

片足生活は不安定でして、しばらく右足を小机にぶつけたり、頭を棚にぶつけたりの、元来のバタバタぶりに磨きがかかり生傷の絶えない日々が続いていましたが、先日無事、腱はつながりました。ドクターからは関節が固まってしまわぬよう少しずつ負荷をかけて動かすようにと言われるのですが、なんだか地面にタッチするのが怖くって…数十年前、よたよた歩み始めた頃、700万年前、初めて二足歩行に挑み始めた頃、来し方を思い起こし勇気を振り絞ってひょこひょこと歩いています。「慎重」という言葉がボクの辞書に加わりました。

 

それにしても酷い暑さですね。

窓にはしっかり、目張りのガードが設置されて上部30センチ程度の空しか見えないんですが、暑さを防ぐ効果はないようで灼熱です。ギブスが蒸れてとんでもなく痒い。一日一回はもんどり打ってます。心頭滅却しても暑いもんは暑い。痒いもんは痒い。

梅雨は明けたのかな、めでたいですね。ここにいると季節の移り変わりを慈しむことができなくなります。はやきことはよきこと。自作のカレンダーの数字に✖️をつける嬉しさ。出所のその日だけに意識のベクトルが向く時間感覚の単純化というか均一化。夏至もすぎ、これからは日もぐんぐんと短くなって…あっ!今の風には秋の匂いがしたような…そんな風に充実よりも速度に価値を置く勿体無い人生観になっています。

 

本、ありがとうございます。色々と制限があってお手間かけて恐縮っす。

トンガ坂文庫さんにもよろしくお伝えください。

ボクのブログ(100日後に収監されるボク)についてもお伝えしていただいて構いません。塀の中から地味に拡散希望です。

自分の好みの選書だとどうしても視野狭窄になってしまうので、第三者による選書ってのは贅沢ですよね。自分の無知さと世界の広さを知ることができます。あっぷあっぷですが読み進めています。差し出される仁義をドンと全て享受できる男が理想なので。

フィクション、ノンフィクション、詩集にエッセイ、ルポタージュに評論…被らないセレストありがとうございます。本に淫する毎日で気づいたこと。人生、純文学の世界観で生きると不幸になる。かといってエンタメにかけると命を縮める。ボクは少しばかりエンタメに走りすぎていたようです。まあ色々ありますが、うまい具合に今日をやりくりしながらやっていきたいと思います。

暑い日々がやってきます。よい夏をお過ごしください。

 

 

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永井玲衣/水中の哲学者たち

オープンダイヤログに通じる対話の価値を確認できた。