朝が来る。それにしても暑い。うちわであおぎながらワークブックは涼しくなってからやろうと畳に足を伸ばす。
涼しくなってから…だとしたら秋になっちまうべとうんざりした気分になり、机に向かうことにする。
ワークブックと金曜の強制指導日の感想文を仕上げる。
ラジオ放送は、危険運転で子供を失った被害者家族の手記だった。その前向きで慈悲深い態度は、絶対に加害者を許さないと憤る別の被害者家族の目にはどんなふうに映るんだろう。
職業案内は、飴職人とクリーニング師の紹介。これ聞いて何を書けばいいんだ?
何が気に入らないのか土曜の夕食になるとおかずを壁に投げつけて保護室に連行されていく(そして月曜に戻ってくる)外国人(どこの国かはわからない)が隣の隣にいる。食文化を共有することは相手と向かい合うことだ。どんな料理も受け入れることのできる(ウィズアウト椎茸)バリアフリーな味覚をもつボクは他文化コミュニケイトの素質がある。だからというわけではないが「ここの飯はまずい」とかいう言葉には同意しかねるし、ましてや気に入らないメニューを壁に投げつけてぶちまけるような輩には腹が立ち許せない気持ちなる。
食器を扉に投げつける音が響く。続け様に衝撃音が。耳をそばだてていた分、心臓がキュンと縮む。
日は伸びて行くのに一日は短く思える夏の不思議。
ラジオからは「明日は37度の予報。危険な暑さですね」と注意喚起がなされる。
危険な暑さかあ。なんだかワクワクする。
中島岳志/思いがけず利他
むかーし読んだ「恋するようにボランティアを」を思い出した。湧き立つ想いが共通点。