収監ダイアリー

虚栄心、自己治療、責務、手段、自己実現。晒す限りは活かしたい。

2022年5月1日

前略

まずはご報告を。えーっと判決は懲役一年8ヶ月でした。

これはというと、求刑2年半に対して七掛け以下の量刑なので(判決の多くが求刑の七〜八掛けになるのが一般的であり)、まあよかった方だと評価できます。

とは言っても一年八ヶ月。つまりは二十ヶ月…果てしない。

今が水戸刑務所です。先月移送されました。どこに行こうが刑務所のしつらえはいつも同じ。だけどちょっとした瞬間(例えば、刑務官の訛りだとか、食事に納豆が多いとか)にフィールドアイデンティティを垣間見ることができます。

東拘へは差し入れ本ありがとう。無事受け取ることができました。

連絡が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。まだ新人ペーペーなので月の発信回数に制限がありすぐに手紙が出せないんです。

感想をお伝えします。

『「死」の哲学書』はちょっと難しかった…

死は悪いもんじゃないってことはよくわかったんだけど、やだなあという気持ちは消せるものじゃないよね。誰も死について自身の体験として語って聞かせてくれてはしないからねえ…とすると死という未体験のものへの理解の深さはやはりその者の想像力次第のような気がします。

四年前に出所したとき、ボクは自分の人生について想像しました。ここがボクの人生における折り返し地点だと。そう受け止めることにしました。そして、来た道を戻るだけだから怖がらなくていいと言い聞かせませた。景色は違っても知った道だ。足取り軽く生きていこうと。

その人生の帰り道、刑務所に寄ってくことになるなんて…ここのことはもう知りたくないほどよく知っているんだけどなあ。まあ仕方ない。向いてる方が前。がんばります。

ゴールデンウィークはどうですか?街は行動制限も取っ払われたようで、行動制限付きの身の上としてはただただ羨ましい。遠出しましたか。

前回の収監中、行きたい場所リストなんて作ったんですが、一つも果たせぬままコロナが蔓延り、この状況。今回は「都内のサイゼリアを制覇する」と半径狭めの目標設定にします。

美味しいは正しい。決してここの食事が悪いわけではありませんが、くちびるまでテカテカになるような味の濃い料理が無性に恋しくなるときがあるんです。ギドギドの悦びで満たされたい。よかったらまた行きましょう。

未来のことを考えるとつかれてしまうので今日のところはこのあたりで。

じゃあね。

 

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米原万里/打ちのめされるようなすごい本

よくこんなタイトルつけたなあと手にとって読んでみたら、全然負けてない。ガツンと打ちとられてしまった。