今日は少し風があります。前回の手紙では寒いと書きましたが、6月末から一気に暑くなりやがって…
刑務所ってところは何につけても極端なんですよね。みぎわがないというか、境界の豊かさ不足というか。メリハリ地獄です。
刑務所特有の事象なので仕方ありませんが、それにしても…ではあります。
特にこの二ヶ月半はギブスをつけていたので蒸れて臭くておぞまい夏模様でした。(ギブスの隙間に滴る汗ってどうしてあんなに不快なんでしょう)。
今日の風はとてもいい。夏の真っ只中に吹く風は貴重です。後先構わず涼んでしまいます。
窓ぎわに佇み柔らかな風を受けると幸福な気持ちに。そして、目を開け、便器からバリアフリーでつながる3畳一間の部屋を目の当たりにすると謙虚な気持ちになります。
謙虚さでもってこの手紙書き進めてきましたがそろそろ飽きて…もとい、疲れてしまった。
なので今日のところはこのあたりで。
いただいた手紙の「(刑務所の生活に)順応してんじゃないわよ」のメッセージ…確かになあ、淘汰の名がすたる。嫌なものは嫌と言える自分らしさを貫かねば!
滅びの美学、忘れずにいたいです。
幸田文/おとうと
結核患者のもつ空気に溶けて消えていくイメージ。清らかな透明性といようか。根気よく療養に専念し順調に回復していても、ふとしたはずみで痛ましい再発にオカサレル。この「オカサレル」とう部分が依存症とは一線を画す。どうしようもない病魔に抵抗できずにいることを許される世界観。羨ましいなあ。