収監ダイアリー

虚栄心、自己治療、責務、手段、自己実現。晒す限りは活かしたい。

2022年4月5日

お元気ですか。

保釈中は(それ以前からもですが)、身元引受人、情状証人、仕事関係でも諸々と…大変お世話になりました。

保釈中のシェルターの利用もとても助かりました。ありがとうございました。

シェルターを利用して…

自分がかつて誰かに紹介していたサービスがこんな風に安心、安全をもたらしていたのかと実感でき、なるほど😮と今更ながら合点が言った感じです。地に足の着いた自信に変わりそうな体験となりました。

 

今はまだ東京拘置所です。

上訴権はすぐに放棄したのですでに懲役処遇になって、はじめはざらばん紙を手で千切ってできるだけ細かい紙屑を作るという目的のよくわからない作業を日がな一日やっていました。できの悪いシュレッターです。

この作業を行うにあたって与えられる環境は、個室完備、上げ膳下げ膳の3食つき…いいのだろうか。生産性、血税という文字が頭をめぐり杉田水脈になりそうで怖いです。

先週からは少しグレードアップして紙袋を作る作業になりました。

が、フロアの誰かがコロナに感染したようで全作業が中止となり…またも無職です。3月の報奨金は500円ありませんでした。牧歌的「怒りの葡萄」の世界です。いつか「怒りの紙袋」というノンフィクションでも書きたいと思います。

 

作業がなくなった代わりに反省文を書く毎日です。

「自分の犯した罪の大きさについて考えよう」とか「規則の必要性や守ることの大切さを考えよう」とか、そういう課題が出ます。

収監生活について罰を受けているとは感じていても、罪を償っているとは思えていないボクとしては(もちろんそんなことは書けるはずもなく)、この反省文は曲者です。紙ちぎりよりもずっと強敵です。

 

コロナも相変わらずで、戦争も始まって、平和はどこにあるのかと悲しくもなりますが、意外にもここは平和です。拘置所が平和というのも変な話ですが、留置所のあの行儀の悪さに比べれば平和です。平和と戦争は対極のものだけど、すぐそばにあるんだなあと。

ここ数年はずっと動きっぱなしだったので、少し社会について自分について腰を据えて考える時間にしたいと思っています。

まずは、朝日新聞週刊文春を定期購読することにしました。

ボクとしては仮釈をたっぷりもらい一年くらいでこんな場所からはおさらばしようと考えているんですが、それでもカレンダーなんかをみてその先の長さに圧倒されそうになります。

そんな時は判決のあと、稲葉さんが言ってくれた「待ってるからね」という言葉を思い出して自分を励まします。

言葉は言葉でしかありませんが、その言葉が嬉しくて救われます。

困窮者支援の現場は正直、しんどくてシラフじゃやってられない時もありましたが、正気は失わずにこれました。

稲葉さんをはじめとする皆様のおかげです。(皆様でくくってしまい申し訳ありません。個人名は書けないんです)。

正気って悪くないですね。

ここはシラフでいられても正気が危うくなることもあり……なので正気を失いそうになったらまた手紙を書きます。

稲葉さんもお身体お気をつけてお過ごしください。

 

追伸 出所後の柄受に稲葉さんの名前を書かせてもらいました。シェルターをまた希望します。そのうち保護観察所から連絡があるかもしれません。その際はよろしくお願いいたします。(追伸に書く内容ではなかったです。すみません)。

 

 

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