収監ダイアリー

虚栄心、自己治療、責務、手段、自己実現。晒す限りは活かしたい。

2022年4月4日

「コロナ感染症対策のため作業中止とします。材料引き上げ」

午前の作業中に放送がかかる。週末、衛生がいなかったのは陽性だったからだ。そこで感染のストップがきかなかったんだろうな。

材料の回収とともに、筆記用具、就業者作業安全衛生の心得が配布される。

課題は、計算問題プリント。「定価100円の商品を買うと消費税10%の場合、いくら必要となるでしょう」そんなのが全5問。

もう一つは自由作文。

テーマは「刑務所において規則の必要性や守ることの大切さを考えてみよう」

ボクの回答は…

刑務所であるないに関わらずある程度の規模のコミュニティにおいては規則、ルールは不可欠となる。それは、安心、安全の保障となり得るからである。ただし、その反面、そのルールからはみ出すという行為には(たとえそれが実際に誰かに何かしらの不利益を与えることがなかったとしても)、それだけで誰かに不安を与えてしまうという副作用もある。

私は今回、覚醒剤の使用のために収穫されたのだが、薬物施策(単純使用・所持への処罰化)はデメリットが大きい(本心は、デメリットしかないと言い切りたい)という持論をもっている。だから特に躊躇うこともなく使用し、捕まったわけであるが、既存ルールに対してそのルールの精度を自己判断で評価し、遵守するかどうかを決め行動する自己中心的な思考(行動)がどうも強いようだ。ここについては反省しなくてはいけない。

ルールや規則に物申す際には現行ルール内において声をあげていかなければ、伝わりにくいということをこの刑務所という制限された環境下で身をもって学んでいる。

社会において法律(規則)に違反する行為をしたという一点がここにいる者の共通である。ルールを逸脱することへの抵抗感が低い者の集まりだと見なされても仕方ない。よって刑務所における生活では一般的社会に比べ規則を守ることへの意識づけの徹底が図られているのであろう。

まあ、刑務所でいくらルールの徹底が図られたところで釈放されてしまえば、忘れてしまうのであるけれど。刑務所でのルールの徹底は刑務所でのトラブル防止という成果しか期待できない。

 

最後の部分は、書かずに提出した。

 

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横山秀夫/真相

「汗は腐る」この言葉がずーと気になったまま読み続けてたら終盤にもう一度繰り返された。作者も大事にしてたワードだったようだ。自分の感受性の正しさに酔う。