収監ダイアリー

虚栄心、自己治療、責務、手段、自己実現。晒す限りは活かしたい。

2022年3月27日

一箱50本入りの綿棒。週に2回の入浴後の時に一本使っている。これが全部なくなる頃にはもう夏休みだ。そうこうしているうちに一年なんてすぐに過ぎていく。前回は三年半…ほお…三年半かあ。よく圧倒されなかったもんだ。


ラジオが流れているが本に集中できなくなるのでオフにしている。

オフにしているのにも関わらず、NHKのど自慢の歌声はどうしてだか聞こえてくる不思議。

日曜日の憂鬱。この家族、地元至上主義のコンセプトの番組はどうも性に合わない。善意と熱意にはシニカルな鼻笑いが発動してしまう。

ゲイというだけでひとつの病であることを、のど自慢への嫌悪から知ることができる。


小菅新聞を閲覧する。これは視察委員会が年に2回発行している全10ページにわたるニュースペーパー。収容者からの意見を委員会が聴取し、まとめ、東京拘置所へ提出し、東京拘置所からの回答が掲載されてある。食事時間が短いとか、官本が少ないとか、寒いとか、そういうやつ。(中には酢が飲みたいとか、サプリを認めて欲しいとかもある)。冷暖房が効かないという苦情には、廊下にエアコンが設置され、廊下からの空気が居室内に入るという形で冷暖房が運用されている(夏は二十八度を越えたら、冬は十九度を下回れば風量を強くしている)との回答。わずかな隙間の食器口からの空気の出入りでどれほどの温度調整が可能と考えているんだろう。刑務官は一回、灼熱の(もしくは極寒の)房の中で一日過ごしてみろと言いたくなる。

戒護上の問題…「戒護」かあ。これまで出会ったことのない言葉だ。日本語ってなんて豊かなんだろう。どんな意味かは知らないが。

小菅新聞によると、現在、東京拘置所には官本(備付書籍)は3万2813冊(日本語書籍2万6682冊、外国語6125冊(27言語))あり、差し入れ本は年間25万580件あるらしい、これは1日すると320件以上の計算になるという。

会計課の方々、ご苦労様です。

まあそれはそれで手持ちの本を読み尽くしてしまい、どうしよう。官本交換の木曜までどうやって過ごしていけばいいのやら。

 

 

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細田守時をかける少女(絵コンテ)

時間を行き来できる能力があったとして、覚醒剤に出会う前に戻りたいとは思わない。

今回、逮捕される前に戻りたいとも思えない。

懲役生活をすっ飛ばして一年後にワープしてしまいたいとも思わない。

時間を行ったり来たしできてしまうと、今が薄れてしまいうような気がして勿体無い気がしてしまうんです。