収監ダイアリー

虚栄心、自己治療、責務、手段、自己実現。晒す限りは活かしたい。

2022年3月16日

今日から懲役。

朝一番、一階ターミナルへ連行される。

そこで改めて刑が申し渡される。

「被告人を懲役一年八ヶ月に処する。未決勾留日数中一日をその刑に算入する」

ってことは、2023年11月8日までか。

ってかジャストワンデイ!…シブチン過ぎるぜ裁判長。

領置品の再チェックを受ける。

だだっ広いフロアで全裸になり緑のゴワゴワした官物の舎房着へ着替える。

今日まで着ていた服は出所までおさらば。洗わないまま保管されるからきっとすごく傷むんだろうなあ。

持ち込んだタオル、歯ブラシ、切手、肌着は使用してもいいらしい。

靴下、せっけん、封筒はダメだった。

新しい称呼番号は666番。ギャンブル依存症だとトリガーになりそうな組み合わせだ。

一歩一歩、着実に受刑者へと変化していく。

ひと通り庶務作業が終わり部屋へ戻る。

フロアは同じだが懲役者用の独房になる。

東向き陽当たり良好。外からは街宣車が「東京拘置所はーーーー」と、なんたらかんたら叫んでいる。なかなかにぎやかだ。

もちろん懲役作業も始まる。

メモ用紙を手でちぎり、できるだけ細かい紙屑を作るという意味不明な作業。何のための作業なのか。どういう過程の一部となっているのか。説明してくれてもいいのになあ。

7時半から15時半まで部屋で一人きり、日がな一日ちまちまと。出来の悪い人間シュレッター。この調子だと夜は指先だけぐっすりと眠れそうだ。

作業をしながら、ボクは計算する。

出所まで602日。年ピン(懲役期間全体の1割の仮釈)をもらうと仮定したら542日後には出れる。来年の9月第三週には出れる。

ボクは数字に支配された生き物へと変わる。確かめ算を何度も何度も繰り返す数字に支配された受刑者という生き物へ変わる。

 

 

f:id:cubu:20230819103553j:image

彩瀬まる/桜の下で待っている

桜の下には…もっとおどろおどろしいものがひかえているのかと思っていたが、そうではなかった。

苦しみ、悲しみしか見えないほど、ボクの目は悪くない。