収監ダイアリー

虚栄心、自己治療、責務、手段、自己実現。晒す限りは活かしたい。

2022年5月9日

訓練も今日を含めてあと三日。

午前中は教誨師でもある住職による坐禅のマイクロティーチング。

意外にもよかった。やったあと体がぽかぽかした。

頭に浮かんだ想念をことごとく捨てて無になる。無我を目指す。

ボクには捨てるほどの財はない。

ボクを生かす原動力は「よきソーシャルワーカーになって誰かのために尽くしたい」という想いのみ。

その想いすら捨てる。

誰かのために…を手放す。

「今」が全て自分のための瞬間の連続。軽やかだ。

 

続いて教官による講義。刑務所の心得について…うんたらくんたら。

君たちのような犯罪性が進行している者を水戸刑務所は受け入れているわけだが…うんたらくんたら。

社会との折り合いの付け方を変えない生き方の選択を犯罪性の進行だなんて評価されたってもなあ。

ボク自身としては、進行も後退もない。なんら変わってないと思うだけだ。

興味のない話の時には薬物依存について考えることにしている。

アートの世界にいるうちは幻聴や幻覚に悩まされ続ける病者的アーチストの宿命のように、依存症支援界隈で活動するのであれば、アディクト的自分をボクも手放せないのかもなあ。

さっき坐禅で手放しのトレーニングをしたばかりなのに。

 

「好きな芸能人誰ですか」

運動中のたわいもない会話であるが、みんなボクがゲイだとは知らないので正直に答えるわけにはいかない。

沢尻エリカと答えておく。嘘ではないが、彼らのいう好きとはやはり違う。

 

今日の入浴の監視には訓練工場以外の刑務官がついている。いつもより担当教官の目も厳しい。他の刑務官の手前、わざわざ厳しくしてる風にも見える。

 

一日が早いと貴重な人生を無駄にしていると焦り、一日が遅いと…それはそれで苦しい。

 

 

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馳星周/煉獄の使途

こんなにとっ散らかってラスト、どう回収するんだ?って思ったら…やっぱりね。核とカルトは回収できぬ。