子供と二人で行楽地を小旅行する夢をみる。なかなかに和気藹々としたムードの時間だった。
ここまで実現可能性のない内容だと清々しい後味になるものだ。
ここへ来て二週間経ったので転房。
荷物をまとめてC棟6階へ。今度は畳部屋。
刺激がないのも退屈だが、変化は変化でめんどくさい。
とうとう地獄めぐりが始まってしまった。
新しい部屋の前には紙袋折の作業グッツが置かれてある。が、本日は矯正指導日なので作業はない。
適性検査を一人部屋で受ける。
MISCTとか MIPTとかCAPASとか…そんな常識を試してくるやつ。
テストには、麻疹はウイルス?それとも細菌?なんて質問項目がある。HIVはウイルス、梅毒は細菌ってことは知ってんだけどなあ。
こんな検査でボクの何がわかるんだろう。自分でさえ自分についてよくわからないのに。わかったことをぜひ教えてほしいなあと思う。
人よりいろんな経験をしてはきたけど、感情の上げ下げはそんなにないから人間的な深みはない。多分、薄っぺらな人物評になってるんだろう。
食事の時間が待ち遠しい。別に腹が減ってるからではない。他にスケジュールの予定がないせいだ。
HIVといえば、前にいた棟ではいちばん端の部屋だったから確信は持てなかったが、ここに来てわかったことがある。毎回、入浴は最後にまわされている。感染症のせいだろう。
個浴なのに厳重なこった。
と言うことで最終組みにはHIVの者が集まる。なんとなくそれっぽいやつがいるなあと見るとはなしに見てしまう。きっとボクもそう見られている。
佐野洋子/コッコロから
若い女子に勧めたいと思った。佐野洋子ってやっぱ天才だな。文章がちょくちょく破壊されてて読んでて楽しい。