うすぼんやりとした白いもやの中、目が覚める。痛いほどの光はもうない。青になりきれぬまま朝を迎えた空。でかい台風が近づいてきているという予報は本当なんだろう。雨が降り出した。数日ぶりにエアコンが稼働する。ストレッチで汗ばむ。暑い夏だったなあ。これが今年最後の汗になればいいのに。
晴れて、曇って、雨が降って、止んで、また晴れて、曇って、雨が降って、また晴れて、もう4、5回繰り返している。落ち着きのない空模様は誰の心情を代弁しているのだろう。
刑務所の休日は話題がない。空ばかり見ている。
日が暮れてきた。雨が降っても闇は闇。夜は夜。
独房に備え付けられたテレビは部屋にいる間は見ることができるが、ボクはテレビを見ない。巡回の刑務官が茨城訛りで「テレビついてっからな」と教えてくれる。なんだか悪い気がしてテレビをつける。が、特に興味をひく番組もなくすぐに消す。次の巡回の時には刑務官は何も言わなかった。
吉田篤弘/天使も怪物も眠る夜
伊坂幸太郎との共著みたいなムード。伏線回収を意識し過ぎたのかな。