強制…もとい矯正指導日。
強制でも矯正でもさして変わるもんでもないだろうが。
部屋で教育のビデオを見ていたら、「診察」と言って呼び出される。外医への受診らしい。
準備された紺色のウインドブレーカー、サンダルへ着替える。
ドアップ、バストアアップ、サイド…マスクを着用したVER.と素顔のVERでそれぞれ写真を撮られる。
ウインドブレーカーのポケットに両手を入れるとポケットには穴が開けられてあり、その下で手錠をつけられる。外からわからないようにする配慮らしい。不穏な動きはしないようにとの訓告を受け、マイクロバスに乗り込む。三人の刑務官につきそわれたVIP待遇だ。
指定の病院にはここから車で40分ほどかかると説明を受ける。40分が長いのか短いのかよくわからい。「はーそうか」としか思えない。時間感覚がだんだんなくなってきているんだろう。
茨城の田舎町を眺めながら、山間過疎地のカルト村から医療を受けに街に降りてくる信者みたいだなあなんて思う。
県立病院の夜間救急外来の側に車はつけられる。車を降りると車椅子が準備されてある。ボクには娑婆に足をつける権利はないってことだ。車椅子に乗って手取り足取り完全監護体験実施中。やんごとなき待遇の窮屈さを知る。やってもらうは、やれないってことなんだなあ。全てに身を委ねるって不自由なもんなんですね。
診察ではドクターが怒っている。ウイルスがアクティブの状態のまま丸投げする東拘のやり方に立腹している。正論だ。
次回は検査結果を見るためはや目の一ヶ月後。抗体発生してませんように。
部屋に帰る。一日が早い。診察に行っただけでこんなに一日の経ち方が早いなんて。
糸井成里・邱永漢/お金をちゃんと考えることから逃げまわっていた僕らへ
お金というかスタイルの話だな、これは。小銭についた泥の味はしなかった。