収監ダイアリー

虚栄心、自己治療、責務、手段、自己実現。晒す限りは活かしたい。

2022年3月13日

朝が来るのがあんなに嫌だったのが嘘のようなおだやかな目覚め。

ゆるり眠れるからゆるり起きられる。

当たり前のことであるが、これがなかなか難しい。

前のときはどうだったっけ?

 

6年前…あまり覚えてない。

前回は保釈中にHIVだとわかって、未治療のまま収監されたから。収監されはしたものの、寝たきりといっても差し支えない重病人だったから。

拘置所の血液検査の結果、CD4(免疫値)は二桁。いつエイズが発症してもおかしくない状態。拘置所の独房にはネットがない。自分の病状を調べることもできず、その数値が示す危険な現実をあの頃のボクは一切知らなかった。

好き放題に繁殖し続けるウイルスのおかげで夜中の体調不良…苦手だった報知器を使って宿直医に救急対応させてしまったっけ。階段の登り降りもとにかくしんどくって、一階上がるだけがそれはそれは果てしない旅だった。

「治療を希望するか?」とアホな質問してくる刑務官にボクは「お願いしたいです」とへりぐだって答える。あの時「いいえ、どうぞお構いなく」と答えていたらどうなっていたのだろう。

どこの刑務所に行くかの選択肢はなかった。分類の担当から「お前は医療(刑務所)だ」とはっきり告げられたから。そこでようやくボクはボクの体がやばい状況であることを察した。

 

思えば遠くへ来たもんだ。

今回は2日目から、快食快眠快便。

笑ってしまうくらいに強くなってしまった。

 

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中島らも/あの子は石ころ

なっ!なっ!オレなんてまだまだだろう?って友人に勧めたい。こういうユーモアはどうやったら手に入るんだろう。