2025-06-01から1ヶ月間の記事一覧
刑務所の生活はいつだって物足りない。 だが残念なことにその物足りなさを償いで埋めることはできなない。 そこには罰がしっかりと陣取ってしまっているから。 犯した罪が罰だけで充足されるシステム。それが日本の刑務所。 ボクは今日も塀の外の面々に本の…
爆音だけをぶちまけてるエアコン。冷風は流れてこない。 点検待機中「まっすぐ向いとけ」とオヤジに怒鳴られる。「うっせーなあ」と心で呟く。どうしてこんなくだらないルールを守らなければいけないんだろう。ルールを魔もしますなんて証書に署名した覚えも…
タツヤ君は顔芸ができる。表情が豊かなんていうレベルではなく、顔が変わってしまう(ときがある)。筋トレあととか、誰かをつめているときなんかは、いつものひょうきんな時とは全く別人だ。 「オレ仕事何が向いてると思いますか?」って聞いてくるから「俳…
昼休み、わたる君が唐突に経験人数を当ててやると言い出した。 それは単純なひっかけ問題だった。 ①まず経験した人数の十の位と一の位を足す ②そして出た数字が二桁だったら、また同じように十の位と一の位を足す ③そして数に9をかける ④さらに、その数の一…
離脱プログラムも折り返しだ。今回はカウンセラーの先生との中間面接だった。 テキストを使っての認知行動療法は専門病院や保護会ですでに受けた経験があったが、専門病院は30人以上の大規模なグループワークで、保護会はマンツーマンスタイル、今回の5人組…
追伸 名古屋刑務所における刑務官の受刑者への暴行などの事件を受けて、先日法務省は刑務官の人権意識向上を目指しいくつかの法案を打ち出しました。その中には受刑者を呼ぶ際には呼び捨てではなく「さん」と敬称をつけて呼ぶようにするという案があり、これ…
ドカンと構える確かな壁を越え、不確かな壁の物語、確かに受け取りました。 ありがとう。 一昨年の冬、逮捕され留置でまずはじめに手にした本が「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」でした。そしてこの収監生活のクライマックスにその姉妹本?続…
矯正指導日の座禅クラブ。 35分座った。だんだんと短く感じるようになる。 終わった後なんだか視力があがったように感じる。すべての輪郭がはっきり見える。 ある一種のトランスなんだ。座禅という行為は。 睡魔のいる夏 (徳間文庫 つ 3-13 自選短篇集 4 ロ…
雨だ。薄暗い独房がさらに薄ぐらい。だけど暑い。いちばんうれしくない状態だ。 今日で増田さんがあがる。 調査もなく仮釈を迎えられるのはとてもめでたい。 グッドラックをを込めて見送る。 刑務官の人権意識向上のため、もとい、受刑者の人権配慮のため、…
昨日の夜、消灯の10分前、明日出そうと思っていた手紙にお茶をこぼしてしまう。台無しだ。 猛スピードで書き直すも間に合わず。 どうしても今日出したくて朝早く起きペンを走らせる。 もちろん見つかれば注意される行為だ。部屋の前の扇風機の轟音で見回りの…
整列の号令が今日から再開する。 全体主義への回帰。一部の刑務官がはりきっている。なぜだろう一部の受刑者もはりきっている。 一から三十一までめんどくさい。 行進のときにもかけ声があって朝から暑苦しい。 8時45分から運動であり、ピンポンで中島くんと…
半袖で外廊下に並ぶ。 風は冷たい。 雲は高い。 空は晴れ。 ただそれだけ。 工場では明日から点呼、行進、工場に入る際の所動作が変更になるとのこと。コロナが明け、3年ぶりに元来のスタイルに復帰するらしい。もとにもどるったって3年もいるやつなんて少数…
日曜なので今日も手紙を出す。発信自体は7月になってしまうけど。 前略 梅雨ですが今日は晴れです。 ギブスで通した去年のサウナな日々とは違って、今年はまだ過ごしやすい。 体調は変わりなく、病院での検査結果も異状なく…ルーティンでまわる毎日なので変…
こんにちは。 前回の手紙から少し間があいてしまいました。 しばらくぶりというか春を超えてもはや梅雨。 今日はその切れ間の快晴の空。 真夏日らしいですがあいにくの土曜。部屋からでることもなく太陽の陽の恩恵にはあやかれず。 先週は雨続きで一日しかグ…
舎房着が半袖半ズボンになる。肌の露出の季節だ。多くが膝と首筋に年齢が出るものだが、腰の曲がったおじいさんなのに変な部分がやけに少年みたいな皮膚のみずみずしさを保っている人がいて人体の不思議を感じる。 浴槽に使ってみんなが体を洗っている姿を見…
佐藤くんは自分のセクシャリティをカミングアウトしている。 カミングアウトという言葉が持つゲイとしての自意識の重みは彼にはいっさいなく彼のネイチャーとしてあたりまえに立ち振る舞っていた。 佐藤君は市原隼人が好きなんだと公言していた。そしてその…
武藤さんが帰って来た。幻聴で大声を出してしまい15日座っていたらしい。 やったことに対してはきちんとオトシマエをつけさせるのに、やってしまった原因についてはまったく無関心な刑務所。こういうのをカタテオチって言うんだと思う。 先週末の夜の大声騒…
ボク「前の勤め先の同僚から今頃手紙が来たんだ」 中嶋くん「そうなんっすね。そろそろ出てくるからとりあえず出しとかないと体裁悪いから焦って出してきたんじゃないっすか」 中嶋君はなかなかにクールなアセスメントをかましてくれる。 コンスタントに手紙…
離脱教育のメンバーは6人だったが、ひとり調査になってしまったらしい。今日は5人になってしまった。 法務省からきた柳先生の話はやっぱり苦手だ。 「すべての刑務官が受刑者に再使用をしてほしくないと心から願っていいけなる」なんて言われてもなあ。牧歌…
朝日が早い。目覚めが早くなる。だから襲ってくる日中の猛烈な眠気。 理由と結果がきちんと結びつくのはここちよい。 報知器をおろしたのに無視されたといつまでもいつまでもくりかえし訴え続ける輩がいて(彼は一体なにを求めているんだろう?)、その収ま…
まいにち まいにち ぼくらはてっぱんの うえでやかれて いやになっちゃうよ♩ 子供の頃、この歌を聴くたび、たい焼きは一匹につき一回しか焼かれないのにどうしてそんなに嫌になってしまうんだろうと不思議に思っていたんですが、今ならわかる。 洗濯ばさみの…
雨の日の座禅は集中しやすそうだ。 今日は矯正指導日なんでそんなトランスを期待していたが座禅クラブからの呼び出しはなかった。残念。 あやまちはもう再びのラジオ放送はめずらしく女性の手記だった。薬物で二度目の服役。子供たちに懺悔を乞う内容。母親…
隣りの部屋の囚人が朝から壁を殴って叫んでいる。 新人刑務官が素顔でおどおどしているのが見える。こんな罪と罰のど真ん中に放り込まれてなんだかかわいそうだ。 でもこういう普通の反応を示す新人ほど所内の研修やら先輩刑務官からのしごきやらでびっくり…
プログラムも折り返しに近づきつつあるが、その過程において感情がざわつくのは仕方ないことであり、ありうることだとの説明があった。 そうなのか。だったら安心だ。なんて風にはならない。 そういう冷静な分析はボクを救ってはくれない。 そして今回のセッ…
10時からの運動のあとそのまま離脱教育にでて戻ったら昼食。休憩後午後の作業は早上がりのシフトなので今日の懲役は2時間。日給は100円にも満たないだろう。 佐久間くんが3人の子供がいるらしい。母親はそれぞれ違っていてどの子も認知していないという。「…
そうですかあ。老眼ですかあ。 松永さんは加齢が目からはじまるタイプなんですね。あはは。 ボクの加齢は下半身にやってっきました。 下半身...といっても性の話ではありません。(性=脳ですからね)。えへへ。 ここのところとみに足腰が弱くなってしまい… …
中島くんから毎日詰められている堀田さんの口調がいつのまにか常に敬語に代わっている。こういう風にして人間関係は変革していく(上下関係はつくられていく)のだなあ。 昼食に椎茸が出てなえる。リカバリーできぬまま昼休み。 担当が「あの先生はいい。い…
おはようございます。 いただいたお手紙読み返して改めてお返事書いております。 ボランティア活動に対して塩対応な友人へもやもやしてしまうエピソード。社会問題には触れても、社会活動までは教えない(その価値については避けてしまう)教育のせいなんで…
なんだか雨です。 線状降水帯なんて聞き慣れない危険予報が流れてましたが、なんの口ほどではなかった。 塀の中は守られていますからね。 嗚呼、台風の夜、海を見に浜辺へ向かいたくなる体質としては安心安全なんかF★CK YOU! リスクが恋しい。 お手紙…
安井さんが双子でその弟が自死した事実(これは安井さんが隣の席だったよしみにボクだけに打ち明けてくれた過去の一部)を昼休みに他のメンバーたちについ話してしまった。 軽々しく口にしてはいけない話題だとは重々承知ではあったがつい話してしまった。 …