収監ダイアリー

虚栄心、自己治療、責務、手段、自己実現。晒す限りは活かしたい。

2022年12月7日

相変わらずの喉の痛み。眠れない。冷えた指先を疲れ目に当てると気持ちいい。

冷たいは気持ちいい。温かいはやさしい。感覚と感情はきっとどこかで繋がっているんだろう。

そんなセンチメンタルなひらめきを打ち消すような「症状があるうちは病舎からは出れません」との回診医のかわいた声。

まあ部屋に戻ったところで何が待っているわけではないからいいんだが。

コロナ前は完璧だった。

作業、作業、作業。成果よりも挑戦させることだけを目的とした課題に支配された日々。

全部がそろっていた。

全部が終わっていた。

 

寒いと寂しいはよく似ている。

トンガ坂から3冊、塚本さんから3冊、伊藤さんから2冊。差し入れの本がどっさりと届く。

少し体温が上がった気がする。

 

ここに来てよかったのかなあ。

捕まった時のことを思い出す。

もちろんそれは懺悔のためにではない。どうやったら捕まらなかっただろうかという方策を練るための記憶の想起なのだが。

ここへ来てよかったのかなあ。

捕まらなかったらこのノートもない。今、書き込んでいるこの言葉との出会いもなかっただろう。失うのは惜しい。

ここ来てよかったのかもなあ。

 

 

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ジーンウルフ/ジーンウルフの記念日の本

18の短編で「カーシニスター」と「取り替え子」がよかった。他のやつはよくわからなかった。この二つがわかりやすかったかというとそうではなくて、よくわからなさ具合があったというだけだ。