白い季節の風に吹かれ寒い冬がやってくる♫
冷えますねえ。お元気ですか。
こちらは変わりなく…あっ!そういえば歩けるようになりました。
調子にのって大縄の練習(※1)に参加してみたら、びっくりするほど飛べない。三回跳んでギブアップ。翔べなくて茨城です。
※1 大縄の練習……刑務所では毎年運動会が催されます。コロナ禍になり中止になっていますが、代わりに大縄と球入れの二種類のみ、各工場ごとに競い合う記録会が行われます。子供騙しに思えるかもしれませんが、娯楽のない所内生活においては一大イベントに位置付けられそれなりに皆気合いが入っています。そんな中での戦力外。玉入れは老人ホームだし、居場所がありません。
流れる血が止まるように怪我をしてもいつか癒えるという感覚で生きてきましたが、そうではなかった。否、そうではなくなってしまったと言った方が正しいのかも。二度と元に戻らなくなることを老化と言うんだなあ。
上半身の勢いだけで乗り切ってきましたが、これからの人生後半戦、ものを言うのは下半身の馬力だと言う気がしています。冬季処遇(※2)になったので膝掛け毛布でホットケアしようと思っています。
※2 冬季処遇……冷茶が温かいお茶になったり、拭身がなくなったり、毛布が3枚貸与されたり、そのうちの一枚を膝掛けと使ってよくなったりできる冬季限定の特別措置期間。部屋では点検の時以外は毛布を敷きっぱなしにしてよく、ほぼ万年床となる人も。横になってのテレビもよし、日記も読むのもよし、手紙もよし、眠るもよし。ボクは相変わらずもっぱらの読書。
そうだそうだ。差し入れの本ありがとう。吉田修一はここの官本でも「怒り」が人気でいつも借りられています。ゲイコミュティの描写がリアルでいいですよね。「最後の息子と」か「パレード」もよかったなあ。「続 世之助」も読みたいなあ。ちなみに差し入れはカバーも帯もつけたままでいいよ。
季刊誌Be!は今回はクレプトマニアの記事が印象に残りました(いつもまず塚本さんの編集後記を読む習慣がついている)。ここにも万引きで捕まっている人がいて(彼は自分はクレプトじゃないよと自認しており(色々話を聞くと確かにそうだと思う)けどそのあっけらかんとした口調に思わず)、ボクは「なんでやっちゃうの?」と訊いたところ「えーーっなんかレジ並ぶのめんどくさいんだよね」とのアンサーが。つい笑ってしまったんだが「お店とも示談になって、返済も済んでるのになんで懲役になるのかわからない」と言う吐き出された本音にはぐうっと詰まってしまいました。………。それは違うんじゃないか。
口には出さなかったけれど、そこにはやっぱり被害者のいる犯罪と薬物事件は違うと線を引いた自分が確かにいました。
線を引いて安心する。
薬物事件に対する一般市民と同じ反応。何も変わらない。
いかんなあ。差違よりも共通、共有…あなたの中の私をヒントに対人理解を進めるタイプの第三者でいたいのに、まだまだです。
収監されてもう8カ月。来月で事件から丸一年。
毎年11月にスリップしてたけど今年は大丈夫。ただしフィジカルのスリップには注意せねばと。ボクの今年を一つの文字にするなら「転」です。(ちなみに世間は「逼」だとボクは予想している)。
最近は一日がとても早いです。
かるーーーく過ぎていく。足早ってやつ?自分の一日じゃないみたいに目の前を過ぎ去って行きます。ブログのネタ尽きなかった保釈中のあの頃とは大違い。ここ数日は日記に書くことがあまりない。昨日のやつはわずか二行。可哀想な10月24日さん。
ゆるくぬるく心が低温火傷しそうな毎日。
反省したいのに反省を刺激する出来事がない。
泣いても笑っても、泣けなくても笑えなくても、反省しようがするまいがあと一年で出所なんですけどね。
こんな感慨もしんどいの一種なんでしょうか。誰も教えてくれません。
そんな実りなき秋です。
藤原無雨/その午後、巨匠たちは、
注釈小説をパクって注釈レターを書いてみようとチャレンジしてみたが、最後は普通の手紙になってしまった。